貧血は遺伝の可能性もありますか?
鉄欠乏性貧血が遺伝する事はない
貧血が遺伝するかしないかは貧血の原因によります。貧血の原因には遺伝的に生まれ持った先天性のものと、その後の生活習慣やなんらかの原因による後天性のものがあります。偏った食事や慢性出血による鉄欠乏性貧血は後天性のものであり、子供に遺伝する事はありません。しかし先天性の溶血性貧血や再生不良性貧血の場合は、親から子供に遺伝する可能性があります。
遺伝性の貧血でよく知られているものに、ヨーロッパの地中海沿岸やイタリア人に比較的頻度が高いことから地中海性貧血とも呼ばれるサラセミアと、アフリカの黒人種に多く見られる鎌状赤血球症があります。どちらも重症の貧血で、ホモ接合体といって父親からも母親からも病気の遺伝子を受け継いだケースでは病状がより重篤で、ほとんどの人が二十歳前後で亡くなってしまいます。
日本ではこの2つの病気は少なく、多いのは先天性の球状赤血球症です。球状赤血球症とは赤血球膜に存在する先天性異常により赤血球が球状になり変形能が低下するもので、このような赤血球は脾臓で破壊されて溶血性貧血を起こします。治療によって球状赤血球を正常の円盤状に戻す事はできませんが、脾臓を摘出する事で、貧血の症状はすみやかに改善されます。
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